小5で通分・約分がわからない|つまずきの正体と教え方
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「4年生までの分数はできていたのに、5年生になって急に手が止まった」。宿題を見ると、分母をそろえたところまでは合っているのに、分子を直し忘れている。答えは出ているのに、赤ペンで「約分」とだけ書かれて返ってくる。5年生の分数を前にして、こうした答案に戸惑うご家庭は少なくありません。
先に結論をお伝えします。**通分・約分でつまずく子の多くは、分数そのものが苦手なわけではありません。**同じ5年生で習う「倍数と約数」が、まだ道具として使えていないだけです。つまずく場所は4つに分かれていて、どこで止まっているかが分かれば、手当ての順番は決まります。
この記事でわかることは3つです。
- お子さんのつまずきが4つのどれに当てはまるか
- 約分・通分それぞれの、家庭でのほぐし方
- 家庭で3週間やっても動かないときの、次の選び方
小5の分数は3つの単元がひとつながり
5年生の分数が難しく感じられる理由は、単元が3つ連なっているからです。文部科学省の小学校学習指導要領解説(算数編)を見ると、倍数と約数、約分と通分は第5学年の内容です。分母がちがう分数のたし算・ひき算も同じ第5学年に置かれています。
順番にすると、こうなります。
- 前半:倍数・公倍数・最小公倍数、約数・公約数・最大公約数
- 中盤:約分(分数を簡単にする)、通分(分母をそろえる)
- 後半:分母がちがう分数のたし算・ひき算、帯分数の計算
4年生までの分数は「分母が同じ」ものだけでした。5年生で新しくなったのは、分母がちがう分数を、そろえてから計算するようになった一点です。そのそろえ方を支えるのが倍数と約数で、ここが不安定なまま先に進むと、分数の単元そのものが崩れます。
「5年生になって分数がわからなくなった」ように見える子の答案を見てください。実際に止まっているのは分数ではなく、その手前の倍数・約数であることがよくあります。まずはこの構造を親が知っておくと、どこへ戻せばよいかの見当がつきます。
つまずきの正体は4つ
お子さんのノートと答案を見ながら、どれに当てはまるかを確かめてください。4つを一度に直す必要はありません。
- ① 最小公倍数が見つけられない:分母をそろえたいのに、そろえる数が出てこない。手が止まって空欄になる
- ② 分母は直したのに分子を直し忘れる:3分の1を6分の1にしてしまう。分母だけを見て操作している状態
- ③ 答えの約分を忘れる:計算そのものは合っているのに、6分の4のまま提出して×になる
- ④ 帯分数のまま計算してしまう:仮分数に直す手順が抜けて、整数部分と分数部分がばらばらに動く
①と②は通分側、③は約分側、④は4年生の仮分数・帯分数に戻る話です。答えが×になる理由がちがうので、手当ても別々になります。
見分け方は簡単です。テストや宿題の×がついた問題を5問ほど並べます。「そろえる数が出せていない」「そろえたあと分子が直っていない」「約分だけが残っている」のどれかに分類してください。3種類が混ざっていることは、実際にはあまりありません。たいてい1つか2つに偏ります。
手当ての順番は約分が先
4つのうち複数に当てはまる場合、約分(③)から先に手をつけます。理由は2つあります。
1つ目は、約分は使う知識が少ないからです。約分に必要なのは「分母と分子を同じ数で割る」ことだけです。公約数を全部書き出せなくても、2・3・5の順に試せば進みます。成功体験を作りやすい場所です。
2つ目は、通分の計算では最後にほぼ毎回約分が出てくるからです。約分があやしいまま通分の練習をすると、せっかく通分が合っていても答えが×になります。子どもから見ると「やり方を直したのに、まだ×だった」という結果になり、意欲が落ちます。
約分でつまずく子への教え方
約分し忘れる子に「約分を忘れないで」と言っても、あまり変わりません。忘れているのではなく、答えを書いた時点で問題が終わったと思っているからです。手順の最後に約分が入っていない状態です。
家庭でできるのは、順番を口に出す形に変えることです。
- 計算が終わったら、答えを見て「まだ割れる?」と1回だけ聞く
- 割れるかどうかは、2・3・5で試す(この3つで大半は片づきます)
- 分母と分子が両方とも偶数なら、必ず2で割れる
「まだ割れる?」を親が毎回言うのではなく、答えの横に小さく「割れる?」と書き込む欄を作るほうが定着します。声かけは消えますが、紙に書いた文字は残るからです。1週間ほど続けると、書かなくても目が止まるようになります。
最大公約数を求めてから一気に割る方法は、教科書では正式な形として出てきます。ただし約分を忘れる段階の子には早いので、2・3・5で割り続けて構いません。答えが合っていれば、途中の割り方は減点されません。
通分でつまずく子への教え方
通分の①(そろえる数が出てこない)は、最小公倍数の探し方を1つに決めると動き出します。探し方は主に2通りあり、それぞれ得意なことがちがいます。
小5 算数 | 通分
分母のそろえ方2通りの違い
つまずいている子には、まず片方だけを教えます
| 思いつきやすさ | 出てくる数の大きさ | 答えの約分 | |
|---|---|---|---|
| 分母どうしをかける 4と6なら24 | ○ かけるだけで通分できる | △ 数が大きくなりやすい | △ 最後に約分が残りやすい |
| 大きいほうを2倍3倍する 6→12で4で割れる | ○ 順に試すだけで見つかる | ○ 最小公倍数になりやすい | ○ 約分が減る |
- ※どちらで通分しても答えは同じになります。約分まで正しくできていれば、やり方は問われません
まなびとこども
つまずいている子に両方を同時に見せると、選ぶこと自体が負担になります。**まず「大きいほうの分母を2倍、3倍と増やして、小さいほうで割り切れたら止まる」の1つだけを教えてください。**4と6なら、6を2倍して12。12は4で割り切れるので、そろえる数は12です。
②(分子を直し忘れる)には、書き方を変えるのが効きます。分母を書き直すときに、同じ色のペンで分子にも矢印を引く、あるいは分母と分子の両方に「×3」と書き添える。頭の中で処理させず、紙の上に2か所とも動かした跡を残す形にします。
矢印を書くのを面倒がる子には、「かけた数を分数の右横に1回だけ書く」形でも構いません。目的は、分母と分子が同じ数で動いたことを目で確認できるようにすることです。
親が教えるとぶつかりやすい単元でもあります。教えるたびに険悪になる場合の切り替え方は、小学生に勉強を教えるとケンカになる|親が教えない切り替え方にまとめています。
家庭で教えるときの注意点
やってしまいがちで、逆効果になりやすいものを挙げます。
- 練習量を先に増やす:やり方が固まる前に問題数を増やすと、まちがった手順が定着します。1日5問で十分です
- 4年生の分数から全部やり直させる:戻るのは、④に当てはまる子だけで構いません。全員に必要な作業ではありません
- 最大公約数・最小公倍数の用語から入る:言葉を覚えさせるより、割り切れる数を探す動作を先に固めるほうが早く動きます
- 答えだけを見て×をつける:どこまで合っているかを先に伝えます。「そろえる数は合っていた」と言われるだけで、続く子がいます
学習の進み方には個人差があります。1週間で変わる子もいれば、1か月かかる子もいます。**約分が9割合うようになったら通分へ進みます。**通分の分母が出せるようになったら、たし算・ひき算へ移ります。
なお、5年生の分数が固まると、6年生の分数のかけ算・わり算がそのまま楽になります。先の見通しは小6で分数のかけ算・わり算がわからない|家庭での教え方で確認できます。
3週間で動かないときの選択肢
家庭で3週間続けて、約分の正答率が変わらない場合があります。その多くは、次の2つのどちらかです。
- どこで止まっているか、親も本人も特定できていない:4つのうち複数が混ざっていて、切り分けができない状態
- 親が説明すると感情が入る:説明が長くなる、途中で口調が強くなる、子どもが黙る
このどちらかに当てはまるなら、家庭学習の量を増やしても改善しにくい段階です。第三者に1対1で見てもらい、つまずきの場所を特定してもらうほうが早く進みます。分数は前の単元まで戻る必要が出やすく、集団の授業では戻れないためです。
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よくある質問
Q. 通分は分母どうしをかける方法だけ教えて問題ありませんか
答えは合います。ただし数が大きくなり、最後の約分が重くなります。約分を忘れる子には向きません。約分が安定してからなら、この方法だけでも進められます。
Q. 最小公倍数の書き出しは、何個まで書かせればよいですか
分母が2けたどうしでなければ、5個ほどで足ります。10個以上書かせると作業が目的になり、通分に戻ってこられなくなります。
Q. 学校の進度に追いつかないまま2学期が終わりそうです
分数のたし算・ひき算は6年生でも使い続けます。年内に約分と通分だけ固めておけば、6年生の分数のかけ算・わり算に間に合います。単元をその月内に終わらせる必要はありません。
Q. 4年生の分数まで戻るべきか迷っています
仮分数と帯分数の行き来ができるかを1問で確かめてください。5分の7を1と5分の2に直せるなら、戻る必要はありません。詰まるなら、小4で分数がわからない|つまずきの正体と家庭での教え方の内容から手をつけます。
まとめ
5年生の通分・約分は、分数そのものより手前の倍数・約数でつまずいていることが多い単元です。始めるのは、答案を5問並べる作業からです。①最小公倍数が出せない、②分子を直し忘れる、③約分を忘れる、④帯分数のまま計算する。この4つのどれかを見分けます。
手をつける順番は約分が先です。「まだ割れる?」を紙に書く欄を作り、2・3・5で割る動作を固める。そのうえで通分は「大きいほうの分母を2倍、3倍する」1通りに絞る。直すのは1度に1か所です。
3週間続けて変わらないとき、家庭学習の量を増やす選択はあまり働きません。止まっている場所の特定を、1対1で外に頼む段階です。
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参考にした情報
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」(PDF)
- オンライン家庭教師ネッティー 公式サイト(https://www.katekyoinfo.com/)
- スタディサプリ小学講座 公式サイト(https://studysapuri.jp/course/elementary/)
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