図形が苦手な小学生|学年別のつまずきと家庭での教え方
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「計算はふつうにできるのに、図形になったとたん手が止まる」。2学期に入ると、こういう相談が増えます。テストを見ると、三角形の問題だけ空欄。家で聞いてみると「どれが三角形かはわかるよ」と言う。わかっているはずなのに、点が取れない。
先に結論をお伝えします。図形が苦手な子の多くは、図形が見えていないのではなく「形を名前で見る目」から「辺と角の数で見る目」への切り替えが起きていないだけです。そしてこの切り替えは、小学校6年間で一度だけ起きるものではなく、学年が上がるたびに、新しい見方が足されていく構造になっています。
つまり、いま何年生でつまずいているかによって、家でやるべきことが変わります。この記事では、小1から小6まで図形の何を習うのかを学習指導要領で確認したうえで、学年ごとのつまずきどころ、家庭での立て直し方、そして親が付き合いきれないときの選び方までをまとめました。専門用語はできるだけ使わずに書いていきます。
図形が苦手なのは「センス」ではなく、見方が切り替わっていないだけ
図形の話になると、「うちの子は空間認識が弱いのかも」「理系のセンスがないのかな」と、生まれつきの資質のように語られがちです。でも、実際のつまずきはもっと手前にあります。
子どもは入学前から、形を名前と生活の感覚で覚えています。「おにぎりの形」「おうちの形」「ピザの形」。これは間違いではなく、むしろ自然な覚え方です。
ところが算数の図形は、途中から**「辺が何本あるか」「角が何個あるか」で仲間分けする世界**に切り替わります。この2つはまったく別の見方です。生活の感覚のままだと、細長くつぶれた三角形は「三角形っぽくない」ので、三角形だと判断できません。
これは想像ではありません。小学校学習指導要領(平成29年告示)の算数「B 図形」を読むと、第2学年から第6学年まで、身に付ける力としてくり返し**「図形を構成する要素に着目し」**という言い方が出てきます。学年が上がるほど、そこに「位置関係」「図形どうしの関係」が足されていきます。
つまり、図形の学習の芯にあるのは、形の名前を覚えることではなく「どこに目をつけて見るか」の訓練なのです。ここが分かると、家での声のかけ方が変わります。「よく見て」ではなく、「辺は何本ある?」「かどはいくつ?」と聞けばいい、ということです。
学年別|図形で何を習い、どこでつまずくか
学習指導要領に示されている内容をもとに、学年ごとの中身とつまずきどころを整理します。**お子さんの学年だけでなく、ひとつ下の学年も見てみてください。**図形は積み上げなので、原因が1学年前にあることがよくあります。
小1・小2|「名前」から「辺と角」へ切り替わる時期
- 小1:身の回りのものの形を認めて特徴を知る/具体物で形を作ったり分解したりする/前後・左右・上下といった言葉でものの位置を表す
- 小2:三角形・四角形を知る/正方形・長方形・直角三角形を知る/正方形や長方形の面でできた箱の形を理解し、組み立てたり分解したりする
ここが最初の関門です。小2でいきなり「三角形とは、3本の直線で囲まれた形」という決め方が出てきます。生活の感覚と算数の決め方がぶつかる、最初の場所です。
よくあるつまずきは次の3つです。
- 細長い三角形・傾いた四角形を、三角形・四角形だと判断できない
- 「かど(頂点)」と「へん(辺)」という言葉が、指すものと結びついていない
- ちょっとすき間が空いている図を、閉じていると思って四角形だと答えてしまう
小3・小4|「はかる・作図する」道具が増える時期
- 小3:二等辺三角形・正三角形を知り、作図を通して関係に着目する/基本的な図形と関連して角を知る/円の中心・半径・直径、球の直径などを知る
- 小4:直線の平行と垂直/平行四辺形・ひし形・台形/立方体・直方体、見取図・展開図/ものの位置の表し方/面積の単位と、正方形・長方形の面積の求め方/角の大きさを回転の大きさとしてとらえ、度(°)ではかる
小3・小4は道具が一気に増える時期です。コンパス、定規、分度器。図形そのものは分かっていても、道具の手順が多すぎて手が止まる子がかなりいます。
とくに小4は、平面(平行四辺形など)・立体(展開図)・面積・角度が同じ学年に同居します。「図形が苦手」ではなく「この学年の量が多い」だけということも珍しくありません。角度と分度器で止まっている場合は、小4で角度・分度器がわからない|家庭での教え方のコツで手順を切り分ける方法をまとめています。
小5・小6|「性質を使って考える」段階に上がる時期
- 小5:図形の形や大きさが決まる要素と合同/三角形・四角形など多角形の簡単な性質/正多角形/円周率/角柱・円柱/三角形・平行四辺形・ひし形・台形の面積/立方体・直方体の体積
- 小6:縮図と拡大図/対称な図形/身の回りの形の概形とおよその面積/円の面積/角柱・円柱の体積
高学年になると、**図形を見て「性質を思い出して使う」**段階になります。公式を覚えるだけでは足りず、「なぜその式でよいのか」を説明できることまで求められます。
ここでのつまずきは、たいてい下の学年の見方が抜けていることが原因です。平行四辺形の面積が分からない子に公式を暗記させても続かないのは、「平行とは何か」(小4)が曖昧なままだからです。**高学年でつまずいたら、まず前の学年に戻る。**遠回りに見えて、これがいちばん速い道です。
家庭でできる立て直し方は「作る・分ける・言葉にする」の3つ
図形の立て直しは、問題数を増やすことでは進みません。指導要領でも、低学年の図形は「具体物を用いて形を作ったり分解したりすること」が中身そのものとして書かれています。手を動かすことが、遠回りではなく本筋なのです。
家庭では、次の3つを順にやってみてください。1回10分で十分です。
① 作る:折り紙やコピー用紙を切って、三角形・四角形を作ってみる。わざと細長い三角形、傾いた四角形も作ります。「これも三角形なんだよ」と、実物で見せるのが効きます。ストローと粘土玉、竹ひごと輪ゴムなどで骨組みを作るのもおすすめです。
② 分ける:作った形を机に並べて、仲間分けをさせます。ここで**「なんで分けたの?」と理由を聞くのが大事**です。「かどが3つだから」と答えられたら、見方の切り替えが起きはじめています。「なんとなく」と答えたら、まだ名前で見ている段階です。
③ 言葉にする:「へんが3本」「かどが4つ」「まっすぐな線で囲まれている」と、口に出させます。書かせなくてかまいません。図形は、言葉にできた分だけ見えるようになる単元です。
高学年でも同じです。平行四辺形の面積なら、紙で作った平行四辺形を1回切って動かし、長方形に作り変えてみる。それだけで「なぜ底辺かける高さなのか」が腑に落ちる子がいます。
なお、これは効果に個人差があるやり方です。手を動かすのが好きな子にはよく効きますが、面倒がる子もいます。嫌がるようなら無理に続けず、次の章のやり方に切り替えてください。
ドリル・工作・タブレット、どれで立て直す?
家庭での立て直しの手段は、大きく3つあります。それぞれ得意なことが違うので、お子さんの止まっている場所によって選ぶのが基本です。
- ドリル・プリントを増やす:作図や計算の手順が身についている子が、量で慣れるには向きます。ただし「見方」が切り替わっていない段階でやると、同じ間違いをくり返すだけになりがちです。親が横で見て、どこで詰まっているかを判断する必要があります。
- 紙やブロックで作る(工作):見方の切り替えには、いちばん直接的です。一方で、親が付き添う時間が必要で、毎日は続けにくいのが弱点です。
- タブレット教材・映像教材を使う:解説が用意されているので、親が教え方を組み立てなくて済みます。丸つけの手間も減ります。一方で、費用がかかること、子どもによっては受け身になりやすいことは頭に入れておきたいところです。
図形の立て直し | 手段の使い分け
ドリル・工作・タブレット教材の向き不向き
お子さんが止まっている場所によって、向く手段が変わります
| 見方の切り替え | 親の手間 | 続けやすさ | |
|---|---|---|---|
| ドリル・プリント 量で慣れる | △ 見方が変わらないと同じ間違いが続く | △ どこで詰まったかは親が見る必要あり | ○ 1枚ずつなので取りかかりやすい |
| 紙やブロックで作る 手を動かす | ○ 辺と角に目を向けさせやすい | × 親が横についてやり取りする前提 | △ 毎日は続けにくい |
| タブレット・映像教材 解説つき | △ 解説はあるが、理解度は子どもによる | ○ 教え方を親が組み立てなくてよい | △ 受け身になる子もいる・費用がかかる |
- ※どれか1つに絞る必要はありません。見方の切り替えは工作、定着はドリル、というように組み合わせる家庭が多いです
- ※学習の効果には個人差があります
まなびとこども
親が教えるときの注意点・人を選ぶ点
図形は、親が「そんなの見ればわかるでしょ」と言ってしまいやすい単元です。大人にとっては一瞬の判断だからです。でもお子さんの中では、名前で見る目と辺と角で見る目が、まだ混ざっています。見えていないのではなく、見るところが違うだけです。
家庭で教えるときは、次の3つに気をつけてください。
- 「よく見て」と言わない:何を見ればいいかが分からないから止まっています。「辺は何本?」「かどはいくつ?」と、見る場所を指定します。
- 一度に全部直そうとしない:三角形の判断、作図、面積は別の力です。今日は1つだけにします。
- 親子でぶつかるなら、教える人を替えてよい:上の表のとおり、工作は親の付き添いが前提です。付き合いきれない時期は、教材に任せるほうが結果的にうまくいくことがあります。この判断については小学生に勉強を教えるとケンカになる|親が教えない切り替え方にまとめています。
一方で、家庭での立て直しが向かないケースもあります。学校の進度から大きく離れている、図形以外の単元でも広く止まっている、本人が算数そのものを強く嫌がっている——このような場合は、家庭学習だけで抱えるより、学校の先生に相談したり、教える人を外に頼ったりするほうが早いことがあります。
教材に頼るなら、まず中身と費用を書面で確かめる
親が全部を教えきるのは、正直むずかしい単元です。図形は6年間にわたって少しずつ足されていくので、そのつど教え方を組み立て直すことになるからです。通信教育などの教材に任せるのは、手抜きではなく現実的な選択です。
ただし、いきなり申し込む必要はありません。多くのサービスは資料請求ができるので、会費と中身を紙で確かめてから決めるほうが失敗しにくくなります。合わなければ見送って構いません。
スマイルゼミ小学生コースは、小学1年生から6年生まで学年別のコースが用意されているタブレット教材です(最終確認日:2026-09-02・公式サイト)。タブレット代が別途かかり、12か月以上の継続が前提という条件があるので、短く試したい家庭には向きません。ここは資料で必ず確認してください。料金や条件は変わることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 図形が苦手なのは、生まれつきの向き不向きですか。 A. 向き不向きがまったくないとは言えませんが、小学校の図形でつまずく子の多くは、見方が切り替わっていないだけです。辺と角に目を向ける練習をすると変わる子が多くいます。ただし、変化の出方や速さには個人差があります。
Q. 何年生に戻ればいいか分かりません。 A. お子さんに、紙に三角形と四角形をかいてもらい、「なんでこれは三角形なの?」と聞いてみてください。「かどが3つ、へんが3本だから」と言えなければ、小2の内容に戻るのが目安です。円やコンパスで止まるなら小3、平行・垂直で止まるなら小4です。
Q. 立体(展開図)だけが苦手です。 A. 立方体・直方体の見取図と展開図は小4の内容です。お菓子の空き箱をハサミで開いて、もとの形に戻すのがいちばん手っ取り早い練習になります。開き方によって展開図の形が変わることも、実物なら一目で分かります。
Q. 中学受験を考えていますが、図形は早く進めたほうがいいですか。 A. 学年を先に進めるより、**いまの学年の「なぜそうなるか」を説明できる状態にするほうが後で効きます。**高学年の図形は、下の学年の性質を使って考える問題が中心になるためです。
Q. タブレット教材だけで図形は身につきますか。 A. 解説を見て理解が進む子もいますが、画面だけでは手を動かす経験が不足しがちです。紙を切る・箱を開くといった実物の作業と組み合わせるほうが、低学年ほど効果を感じやすいと言われています(効果には個人差があります)。
まとめ:どこに目をつけるかが分かれば、図形は動き出す
図形が苦手というのは、多くの場合「形の名前で見る目」のまま止まっているというサインです。辺の数、角の数、位置の関係——どこに目をつけるかを教えてあげるだけで、動き出す子はたくさんいます。
学年別に整理すると、小1・小2は名前から辺と角への切り替え、小3・小4は道具と量の多さ、小5・小6は下の学年の見方の抜けが主な原因でした。**いまの学年で止まっていたら、ひとつ下の学年に戻る。**これが図形のいちばん確実な近道です。
家では、作る・分ける・言葉にする。1回10分で構いません。それも難しい時期なら、教材にそっと任せるのも立派な判断です。全部を親が背負わなくて大丈夫です。
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参考にした情報
※本記事は情報提供を目的としたもので、学習の成果を保証するものではありません(効果には個人差があります)。料金・無料体験の条件は変更される場合があるため、お申し込み前に必ず各サービスの公式サイトでご確認ください。